アメリカNY州農家製無殺菌乳チーズ応援の集い@CUNY, NYC

 3月下旬のコーネル春休みNYC滞在中。ニューヨーク市立大学(CUNY)のエクステンション(公開講座とかの学外向けの活動)のイベントに出かけた。5番街のエンパイアステートビルのすぐ近くのCUNYの建物。外観はクラシックだが、一歩中にはいると超モダンでハイテク設備も整ってる。

IMG_2324r

 Northeast Farmstead and Raw Milk Cheese: Back to the Future

 訳すと。

 「アメリカ東北部の農家製&職人手作りの無殺菌乳チーズ:バックツーザフューチャー
 パネルディスカッションとガイド付き試食会」

 学生のみなさん、Raw という単語は前回も出てきたのでもう分かりますね、生の乳、つまり加熱殺菌してないミルクで農家が作ったチーズを支援しようという会です。Slow Food NYCとの共催。

 今日はちゃんとマジメにお勉強モードで、ざっと説明しておきますが、Raw Milkというのがポイントです。というかRaw Milkは農家製チーズの象徴といってもいい。チーズの味を最も大きく左右するのは、どんな条件かというと・・・・チーズ好きなたいていの人ならこう応えます。
 「無殺菌かどうか」
 そうです、生のミルクを使うかどうか。それがチーズの味を決定的に左右します。乳製品加工の文化がほとんどなかった日本人にはピンとこないところですが、それを上手く説明できるかやってみましょう。
 フランスやイタリアの、いわゆる伝統的なブランドチーズは無殺菌乳製のものがたくさんあります(パスチャライズのやつもありますが)。なぜ無殺菌か?

 無殺菌羊乳チーズを囓りながら(お行儀わるいけど歯形つけて丸かじり)この文章を書いていますが(先週この羊農場を訪問してきました詳細は後日)、ロックフォールのような羊ブルーチーズ、トロトロでおいしいー。で、室温でチーズがトロトロになるのを見てるとなんとなく実感できますが、チーズって、ようするにミルクを固めただけのものです。ミルクを固めただけのものをおいておくと、あとは微生物とかカビとか菌が勝手に働いてチーズの風味を作り出してくれるのです。

 しぼりたての生のミルクには、自然にたくさんの菌が生きてます。悪い菌を殺して、乳酸菌などよい菌だけ生かす殺菌温度がパスチャライズでしたね。でもまあ、加熱しないことが菌にとっては一番居心地がいいのは当然です。そうやっていろんな菌が元気なまま熟成させることで、複雑な風味のチーズができあがります。

 でもまあ、もし悪い菌が増殖してしまうと(そのリスクは大いにあり)、とうぜんそれを食べる人間にも悪さをして、食中毒とかが起きます。毎年フランスでは無殺菌乳チーズで食中毒の死人が出てます、普通に・・・。だから、無殺菌乳チーズはおいしいけど、細心の注意を払ってデリケートに扱われないといけない。
 ということは、無殺菌乳チーズを作るには、もともとの原料のミルクの質が良い、ということが絶対の条件になります。ミルクの質がよい、ということはどういうことか分かりますか?

 質のよいミルクとは・・・搾ったばかりのミルクとほとんど同義です。普通に清潔にしてミルクを搾れば、絞りたてのミルクには細菌が少ないのです(マニア向け注=乳房炎などは別として)。

 しかし、ここからが大きな分かれ道なのですが・・・一般の酪農家なら、搾ったミルクを大きな冷蔵タンクに保管して、集配のタンク車が来るのを待ちます。集配が来るのは毎日ではなく数日に一度。その間に、いくら冷蔵されているといっても、ミルクの中では細菌が増殖していきます。そして集配のタンク車がやってきて、がたごと田舎道を揺られて、やっと乳業メーカーなどの工場に到着します。そのときにはやっぱり、細菌数は増えています。ので、ここまで来てしまったら、もちろん無殺菌のままではチーズにもできないし、ヨーグルトにもできないし、飲用乳には使えません。あまり細菌数が増えていると、パスチャライズもむりかもね。ということで、130度Cとかで超高温殺菌されるわけですね・・・・

 ということで、農家が搾りたてのミルクを、すぐにその農場内で加工することには大きな意義があるのです。ミルクを加工するまでの時間が短ければ短いほど、そしてその移動距離が少なければ少ないほど、少ない細菌の状態の質のよいミルクを使うことができている。そういう質のよいミルクをつかって作られた無殺菌のチーズは、もちろんおいしい。

 繰り返しますが、無殺菌乳製を標榜するということは、それだけの質のよいミルクで作っているということであり、それはすなわち搾ったところの近くですぐに加工している、要するに農家の自家製ということであり・・・おいしい、ということです。この意味で、Raw Milk 無殺菌乳は、農家製チーズの象徴と言えます。無殺菌ミルク製チーズは、農家の誇りであり、その「無殺菌」という点に、彼らのプライドが賭けられているのです。

 今回は、そういうRaw Milkチーズを応援しようという趣旨のイベントでした。講釈が長くなりましたね。しかしもうちょっとだけ、参考のために付け加えておきましょう。

 ミルクをどうやって固めてチーズにするか?

 これを考えてみると、またまたチーズの意味が深く理解できます。

 とりあえず、「カッテージチーズ」、研究室でそのうちみんなで作ってみましょう。間単に作れます。ミルクを少し温めて、そこにレモン汁とかお酢とか、直七汁(高知ローカルすみかん)とかを入れてかき混ぜていくと、ぼそぼそに固まっていきます。これがいわゆるカッテージチーズです。これからの季節、サラダとかにいいですねー。チーズケーキも焼けるよ。ああ、余談余談。

 でも、一般的に、いわゆるチーズを作るときには、レンネットという酵素を使って固めます。ミルクを固めることのできるこの酵素は、どこから来るかというと・・・子牛の胃です。

 なにそれ?? 状態だと思いますが、ここでまた前の話を思い出してみましょう。牛というのは草食動物でしたね。草を食うのが牛本来の姿です。で、草を食った母牛が、子牛を育てるために出すのがミルクです。われわれ人間は、その子牛を育てるためのミルクを横取りしてるわけですね。ああ、言葉が汚かったですね、もう少しお上品に言うと、母牛からミルクをお裾分けしてもらってるわけです。で、子牛はミルクを飲んで育ちます。哺乳類ですからね、人間も同じですね、赤ちゃんは母乳で育つ。ということは、子牛のうちは、草を食べてない。草を食べずに、ミルクを飲んで育つ子牛には、ミルクをちゃんと消化吸収できるような仕組みがあります。それがレンネットという酵素です。子牛のうちにミルクを飲んで育ち、オトナになると草を食って生きていくようになるのが牛です。そのレンネットで固めたミルクを、わたしたちはチーズと呼んで食べてるわけですね。同じ哺乳類ですから、人間も。

 さてさて、やっと無殺菌乳製チーズのイベントに行きましょう。冒頭のパンフレットにあるように、まずはパネルディスカッションがありました。チーズを扱う小売業者や、チーズを実際に作っている農家など、何セットかに別れての順番に議論。現在のアメリカ国内の農家産チーズの状況などが説明されていきます。

 アメリカのチーズ作りの歴史はそれなりに古いのですが、農家製チーズは一時期、非常に少なくなります。酪農の近代化・規模拡大などによって、酪農家はミルクを自分で加工せず、乳業メーカーに売るだけの状態になっていきます。しかし、90年代あたりから、農家製チーズ、リバイバルの時期を迎えました。酪農の近代化・規模拡大路線へのアンチテーゼという意味も多分にあるでしょう。
 例えば、NY州の農家製チーズの組合(ギルド)は、2003年にできたばかりです。加盟農場数は16軒。そのホームページは、http://www.nycheese.org

 最近になって、農家製チーズの動きが活発化してきた状況は、日本のチーズ界の動きとよく似ています。日本の酪農でも、ごく一部の農家がチーズなどの加工を始めたのが90年代、この十数年で日本各地でたくさんの農家製チーズが生まれています。

IMG_2149

 さて、パネルディスカッションの写真を一枚だけ。この4人のパネラーの左端は卸業者、右から2番目の女性は、教育ファームの活動をやってる農場から。右端の男性はそこそこしゃべれるチーズ職人でしたが、左から2番目のまだ若い職人は、すごくシャイで、人前でしゃべるのに慣れてないようで、自己紹介もそこそこに、卸の女性が「あとは彼のチーズを食べてみてください」というような助け船をだして、会場からは温かい拍手のあらし。やっぱり、アメリカでも、農家にはこんな人がいます。農家フェチにはたまりません。そういう人を好ましく思って、温かく見守る聴衆の雰囲気もよかったな。

 ところで、会場の消費者から農家への質問で、こんなのが出ました。
「有機(organic)認証はとってるのか? なぜとらないのか?」

 消費者にとっては、「良いモノ=有機(organic)」だという無条件の刷り込みがされています。良いモノなら、当然「有機」だろう、と。こういう質問の出てくる背景は日本と全く同じです。

 農業のことをよく知らない消費者は、良いモノは当然、有機認証をとっているだろうと思いこんでいます。まあ、普通にスーパーでしか買い物しない人は、有機認証のマークがついているかどうかぐらいしか、商品を判断する情報がないですから、それを頼りに選んでいる普通の消費者にとっては、この質問は当然だと思います。

 が、有機認証を取得するには、小さな農家には費用や手間の負担が大きい。有機認証の仕組みは、アメリカでは大規模な有機ビジネスのものになってきつつあります。小さな農家は、実際には有機の基準はクリアしてるが「認証」を受けてない、ゆえに「有機」と名のらない、名のれないというところが多数存在します。このあたり、アメリカも日本も同じ。

 そして、こういう認証の仕組みに違和感を憶える農家がいるのも、同じです。後日、コーネル大の近くのファーマーズマーケットで、こんなコピーでジャガイモを売っている農家を見かけました。

IMG_7656

 「moreganic」というコピーわかりますか?
 彼は、organicの認証を取ってないです。が、彼の農場はもちろんorganicの基準はクリアしているし、それ以上にエコだと自負しているのでしょう。
 「おれんちは、オーガニック以上だ!」というメッセージです。
 このおっちゃん、ほんとに言葉数がすくなくて、ぼそぼそと、でもしっかり地に足を着けてる人間だと存在感でよくわかる。百姓フェチとしてはたまらんなあ、こんなおっちゃん。

 話はまた戻って、畜産の分野では、「有機」という基準は非常にあやしいものになっています。「有機」の飼料を海外からでも購入して与えれば、それで「有機」の基準はクリアできてしまう。無殺菌乳製チーズを作っているような農家が主張するのは、外から飼料を購入するのではなく、できるだけ自分の農場で飼料を自給し草で放牧して飼育することが、安全で安心な牛乳生産につながり、おいしいチーズにつながるということです。だから、彼らにとっては「有機」よりも「無殺菌乳」の方が大事で、それに誇りがあるわけです。草を食った牛のミルクはほんとに草の香りがして、それが無殺菌だとチーズにもよい風味として反映します。

さて、それではお待ちかね、チーズの試食会場へ。

IMG_2156

 エレベーターでビルの最上階にあがると、天井が全面ガラスで太陽の自然光がそそいで明るいホールでした。こういうスペースの作り方がさすがというか、ちょっとしたイベントや展示会に、この自然光のスペースはすごく重宝します。

 さっそく各農場のブースをまわって、無殺菌乳チーズの味見・・・

IMG_2151


 本日の一番のお気に入りのチーズは、このおばちゃんのチーズでした。このおばちゃん、パネルディスカッションにも登場して、魔女のような笑い声で言いたい放題してる姿にしびれました。超カッコイイ。まじで惚れます、こんなおばちゃん。高知に、こんなおばちゃんいるよなあ、という感じでした。ちなみに彼女はNY州ではなくコネチカットだということ。

IMG_2167

 表面が黄色の中期熟成タイプですが、すごいコクのあるチーズでした。こりゃ無殺菌乳製まちがいなしです。おばちゃんのチーズが一番うまかったわ、と適当な英語で言うと、ポーズを取ってくれました。

 そうそう、アメリカでは、無殺菌乳のチーズは違法ではないようですが、食中毒がニュースになるたびに、批判の矢面にたたされたりしています。そして無殺菌乳チーズは60日以上熟成が必須ということで、チーズのタイプも限られます。フレッシュタイプとか短期熟成タイプのチーズは、風味のバリエーションというだけでなく、農家の経営面ではかなり重要なのですが・・・。
 あー、そうそう、日本では無殺菌乳製チーズはイリィーガルです。が、わたしはなぜか食べたことあります、日本のめちゃうまい無殺菌乳チーズ。秘密が知りたい人はわたしに美味いモノ食べさせてください。こっそり教えます。

 今日の企画は、試食会にワインがなかったのだけが残念でしたが、あとは非常によくプロデュースされたイベントだと思いました。

 この手の、レクチャー付き試食イベントをうちの大学でもぜひ開催したいな。農家とか漁師のおっちゃんとかおばちゃんに来てもらって、四国のうまいものを学び、味わう企画をぜひ実現しましょう。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

Raw Food レストラン"Pure Food and Wine"でベジィなディナー@Union Square, NYC

IMG_2135r

 3月下旬のコーネル春休み期間のNYC滞在。この日のディナーは、Union Square の近くにある Raw Food のレストラン。シックなビルの半地下にある"Pure Food and Wine"。イツコさんの事前サーベイによると、ベジタリアン料理「なのにおいしい」という評判の店らしい。

IMG_2143r
 先客は1組しかいなくて、空席が目立っていたのだが、なぜかそこはかとなく(源氏物語風)よさそうな雰囲気が漂ってくる・・・。まだ早い時間だったのだが、1時間後には全てのテーブルが埋まっていた。やはり人気店、納得である。ちなみに、この先客1組はアジア系だったが、彼女らが早々に食べ終わって以後は、客はすべて、みるからに白人のアッパーな人たちであった(わたしたち以外)。こんなところに、NYCを実感してしまう。(おっとり穏やかな白人の多いコーネル周辺の雰囲気とはやはり違っている)

 先に着席してスパークリングを注文し、メニューをじっくり眺めていると、マキさんとキヨカワさんが到着。

 マキさんは、元通信社で現在フリージャーナリスト、NYCのコロンビア大大学院に客員研究員で在籍、社会企業家のことなどを研究中である。岩波新書の『社会企業家』を読むのが春休みの宿題の、そこのキミ、そうそう、4回生のT本くん、マキさんのブログもちゃんと読んで勉強するように。と書いても見てないだろうな、あいつ。こうやって書かれてたって言ってあげて、3回生おねがい。

 キヨカワさんは、NYの大学院でフードマネジメントを専攻する院生である。元外資系コンサル勤務(でしたっけ?ご本人さま)、院を修了後は地元浜松にかえって、里山エコ系レストランを開業予定である。そのため、彼もわが研究室のスローガン「Always Research!」スピリットを胸に秘め、日夜リサーチを実践中である。お互い研究に励む同志として、このディナーですっかり意気投合してしまった。ちなみに、彼は数日前まで長髪だったようだが、このときはすっきり普通のガタイのいいあんちゃん風、でも怪しい風貌見たかったなぁ。

 さて、Raw Foodのディナーである。Raw Foodというのは聞いたことはあっても、この日が初体験。Rawというのは「ナマ」のことで、要するに、火を通さない、というか全く火を使わないわけではないが、その使い方が厳密に定義されている模様(蒸すはOKで、茹でる・焼くはNGか?)。ベジタリアンの一種らしい。乳製品も出てきたが、たぶんそれもRaw Milkとかパスチャライズとか殺菌温度にこだわりがあるのだろう。

 前菜。4人でシェアする。

IMG_2129r

 野菜類をつつんだ生春巻き、緑のソースにキンカン。後日他のスーパーで確認したところ、確かにこれはキンカン(金柑:kumquat)でした。高知の実家の庭に生えていて、腹痛だったかなんかの時に食べさせられた記憶が・・・。

 もう一つ前菜。やっぱり生春巻きみたいな皮で、刻み野菜和えを包んでいる。ベリー系のソース。

IMG_2130r

 さて、わたしのメイン。ビートで赤紫の色をつけた板状パスタで、中にチーズというか豆腐の和え物を挟んでいる。

IMG_2131r

 次はマキさんのメインだったか。タコスにアボガドと豆系の和えもの。かなりボリューム感があって、メインとして充分耐えるように計算されている。

IMG_2132r

 キヨカワさんのメイン。このカリカリ具合は揚げたとしか思えなかったが、たぶん切り干し大根系の根菜細切り、手前左の黒いのは「ブラジル豆」だそうで、思い切り濃厚でインパクトあり、トマトは赤と黄色の2種類を上手につかってゼリー状に固めてた。

IMG_2133r

 イツコさんのメイン。またまた野菜ギョーザというか生春巻き・・・

IMG_2134r

 ワインはボトルではとらず、各自でグラスであれこれ楽しみました。でも、ワインはいまひとつかな。ま、Bioワインをレストランで商業ベースで出すのは難しそう・・・。ワインリストをじっくり見ると、BiodynamicとOrganicとは別に、sustainableというカテゴリーがあって、まあ意味は想像できるけど、これでブドウ園の農作業とか農法とかの状態をイメージできる人は少ないよね。

 アテンドのお姉さんは、きれーなアフリカン系で、たぶんどこかできる大学の院生ぐらいの知的レベルかな、フレンドリーでかなりサービスのレベルも高かった(がワイングラスを一度倒した)。それ以外のおにいさん達スタッフみなみな全て、いわゆる「イケメン」でした。

 さてデザート。解説なしでどうぞ。わりと普通。

IMG_2139r

 パンナコッタみたいなやつ。ソースは柑橘系酸味。周囲に散らばっているのはピスタチオ。

IMG_2140r

 さて初体験のRaw Foodの感想。正直なところ、かなりおいしく食べられました。何度かRaw Food レストランに行ったことあるというキヨカワさんも、ここが一番よいと言っていた。某有名店など、ひどいところもあるとか・・・。

 Raw Foodをリサーチの視点で見ると。料理の構造としては、肉や魚やオイルを使わない替わりに(オリーブオイルもほとんど目立たなかった)、野菜にゴマや豆や穀類、あるいはアボガドといった素材でオイリーさを加えて、刻んだ和え物&ペースト状のものを皮やタコスで包んで食べさせる。塩やスパイスもほとんど使わないが、柑橘やベリー系の甘さと酸味を上手に生かした味つけ。皮でつつんで食べさせる意味は、崩れやすいものを食べやすくするという物理的なメリットと、食感のアクセント(噛みごたえのある料理はほとんど無い=イメージ的には「老人食」?)、などいくつか考えられる。

 そして、Raw Foodをレストランのマネジメント的視点から分析すると、肉や魚を使わないということは仕入れのリスクが大幅減、厨房の設備もスタッフも少なくて済む、これで繁盛すれば、ボロもうけ・・・とキヨカワさんと2人で狸の皮算用を始める。

 本日のディナーのお値段は、フレンチやイタリアンのディナーに比べてかなり割安、でもまあ肉や魚がないからだが、満足感もあるしリーズナブルな範囲だった。人気店の評判は間違いではない。

 まあ、四国とか大都市圏以外の場所だと、こんなレストランの必要性もないだろうが(もっとおいしいRaw Foodがたくさんあるしね)、いまの世界の大都市のアッパーな人々の嗜好と需要がよくわかる食事だった。


| | Comments (1) | TrackBack (0)

Cornell 大学ブランド乳製品(さらに続く)アイスクリーム&ソルベ

 4月中旬、イサカもやっと春らしくなってきた。最高気温は20度近くになる日が続く(最低気温は5度以下)。これぐらいの気温になると、やはりアイスが食べたくなる。よく晴れた日の午後、足は自然にコーネル学内の Dairy Bar に向かっていた。
 すると、これまで見た中で最大級の「コーネルの月夜にとぶミセス・ホルスタイン」の絵柄が目に入った。

IMG_3230
 ISUZUの2トン保冷車側面に、件のイラストが描かれている。この2トン車で商品が配送されているようだ。

IMG_3228
 平日だったので、 Dairy Bar はちゃんと開店中。なかに入ると、さすが天気のよい日の午後、カウンターに長蛇の列ができている。並んでしばし待機。

IMG_3237

 カウンター内でアイスのオペレーションを担当しているのは、すべて妙齢の男たちである。よく見ると、カラダはぽっちゃり体型、頬は赤く、少年の面影がある。酪農家出身の学生が実習している風である。客対応にはもちろんあまり慣れてなさそうで愛想はないが、誠実に仕事をこなしている。青いポロシャツの胸には、やはり月夜にミセス・ホルスタインのイラストがあった。そして、メニュー表にも同じく登場している。

IMG_3238

 ショップにいくと、このイラストの入ったTシャツや綿のショッピングバッグが売っている。お土産にこれが欲しい人は、日本時間25日月曜深夜までに、私宛にメールしてください。帰国後、春休みの宿題と引き替えにプレゼントします。

 さて、肝心のアイスクリームだ。メープル・ウォールナッツ。

IMG_3241
 味は、思ったよりあっさりしている。メープルの風味はさすがにおいしい。

 もうひとつ、レッドラズベリーの Sorbet (ソルベ)を頼んでみた。このカップでももちろん、ミセス・ホルスタインが月夜を飛んでいる。

IMG_3244

 シェイクのようなものかと思って注文したのだが、初体験の食感。氷は入ってなくて、ラズベリー味のついたただの冷えたクリームのようにしか思えなかった。脱脂乳なども入っているだろうが、とにかくクリームである。めちゃくちゃお腹にもたれそうだ・・・

IMG_3245

 さて、ここでようやく、この Dairy Store のホームページがあることに気がついた。そのサイトを見れば、月夜にミセス・ホルスタインの図柄の謎が解けるかもしれない・・・

http://www.dairystore.cornell.edu/

 と期待してサイトを見てみたのだが、その看板イラストについての説明はなかった。が、このサイトでは、ほんとうにミセス・ホルスタインが飛んでいる姿が見られます。しかし、このGIFアニメもやはり、洗練されているとは言い難い。この野暮ったさがCornellテイストなのだろうか。

 月夜にミセス・ホルスタインの謎が未解明のまま、コーネルを去らなければならない日が近づきつつある・・・・

| | Comments (2) | TrackBack (0)

コリアンタウンの韓国家庭料理でランチ "Kunjip"@32St,NYC

IMG_2109

 3月下旬、コーネル大学春休み期間のNYC滞在中、32Stのコリアンタウンの韓国家庭料理の店でのランチ。
 例によってレストランに入る前に、近所の韓国スーパーを一通り見回して素早くチェックする。捉えたのは、この豆餅である。

 小豆を砕いて、粒々の残っている生の餅の上に散らしている。切り分けてないホールの姿もあって、美味しそうな予感を漂わせていた。たぶんうまいに違いない。この手の豆餅は高知の田舎でも見かけたことがあったような気がしたのだが、正確にたどれない。
 スーパーではとりあえず、韓国海苔を購入(離れ島支柱式栽培の石のりという注釈があった)。海苔をイサカ滞在中の海草類の代用にするつもりだ。

 さて、コリアンタウンの "Kunjip" という家庭料理の店に入る。ランチ時、すでに満席で数組が待っていたが、じきに空いた席ができる。注文し終わってすぐに付け合わせというか前菜というか、漬け物類など常備菜の皿がたくさん運ばれてくる。

IMG_2110
 彩りのよい前菜や常備菜が出てくると、舌だけではなく視覚的にも刺激されて、いやがおうにも期待が高まり、それはたいてい食卓の味わいを良い方向に導いてくれる。見るからに美味しそうな前菜は、やはりおいしい。華美というわけでなく、彩りがさりげなく配慮されている前菜・常備菜は、それ以外の素材の扱いも充分な配慮が行き届いている。これは一つの普遍的な原理のような気がしている。

IMG_2111
 常備菜のなかで最も印象に残ったのは、鯖のキムチ煮である(3回生たち魚へんの漢字わかりますか?)。ブツ切りのサバと大根とをキムチで煮ただけ。しかし、サバのダシがたまらなく出ていて、キムチの汁としっかり馴染んでいる。高知では、サバの味噌煮を普通によく食べるが、料理的にはそれと相似形である。この手の煮込みの魚は、骨ごとブツ切りだと決まっている。
 あぁ、サバが食べたい・・・・アメリカ滞在中、やはりサバ禁断症状が出たのだが、後日この問題を解決してくれる食材と出会う。いずれ報告予定。

IMG_2122
 さて、イタリアンのプリモではないが、2番目に出てきたのは、海鮮チヂミ。このチヂミもさすがにおいしかった。火の加減さすが。うちの研究室でも、玉葱とかニラを学生に食わせるためにたまにチヂミもどきを作っていたが(適当に牛乳いれたりして)、ほんもののレシピをいずれちゃんと学んでみたい。
 チヂミのタレは、ダシ酢醤油だった(柑橘系酸味香りは無し)。このタレも初体験だったが、なるほど、おいしかった。

IMG_2124

 メインは、石焼きキムチビビンバ。海苔に隠れた目玉焼きと白ご飯の下の層には、肉とキムチの層がサンドされている。かき混ぜた姿は撮影しわすれ・・・

IMG_2125
 もうひとつ、これが今日のベスト。肉のダシにギョーザとお餅が入ったスープである。そうか、この白濁スープに白い餅もありか、と納得。

IMG_2126

 このトックという餅の食感が印象に残っていた。弾力感がありつつ、餅にしてはねばねばがなく、あっさりとかみ切れる。この触感はどこかで・・・とわがデータベースを探ると(ただの記憶のことです)、M市内西部にある、「踊るうどん永木」の、うどんの触感とオーバーラップした。あのうどんの厚みが3倍になったと想定したときの歯ごたえである。柔らかく弾力感があり、でも、ネバネバしてなくて、あっさり切れる。
 あとで某TAに聞いたところ、この餅は、餅米ではなく「うるち米」で作られているそうだ。学生のみなさん、「うるち」調べてみてね。もうすぐ棚田の作業も始まるよ。

 クンジップ(Kunjip)のランチメニューは、$7〜$9のメインに常備菜がつくラインナップ。今回はアラカルトメニューからメインをチョイスしたが、ランチ1品だけで十分に味もお腹も満足できる、とてもリーズナブルな食堂だ。店員さんの雰囲気とサービスもてきぱきしていてよかった。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

Cornell 大学ブランド乳製品(続)カップ入りアイスクリーム3種

 以前に予告したコーネルブランドのアイスクリームの現場に、予期せぬ幸運な遭遇を果たしたので報告しておきたい。
 よく晴れた土曜日の午後、キャンパス内をぶらぶらと、普段あまり行かない方角にすすむ。この週末から次の週末までの10日間ほど、コーネルウィークといって、秋からの新入生がキャンパスを見学に来る期間のようだ。一家でぞろぞろとキャンパス内を歩く家族連れの姿が目につく。日本でも、親と一緒の新入生の姿を見かけることはあるが、どうもその雰囲気とは違っている。おそらく子どもをダシにして家族旅行を楽しみに来ているのだろう。ちょっとした観光地のような光景が大学内に出現している。

 そんなことを思いながらキャンパスを横切っていると、まさに観光地のように、群れた人たちが手に持った何かを食べている光景が遠目に入った。

IMG_3030

 彼らが手に持っているのはアイスクリームだった。赤いテントには、Dairy Barと書いてある。もしかして、ここがあの・・・・。
 しかし、残念ながらアイスクリームバーはつい今し方、営業時間が終了したようだ。そのかわり、ショップでカップアイスを売っているという。コンビニの半分ぐらいの店内に入ると、レジからの行列が店内を埋め尽くしている。まさに観光地のコンビニ状態である。今日はカップアイス大サイズがセールで安くなっているらしい。さっそく買い込んで自宅に戻る。

 今日買ってみたのは、この3種である。バニラ、チョコレート、ベリー系。

IMG_3033

 そして、ここで件のコーネルブランドの謎と再会することになったのである。

IMG_3034


 月夜のキャンパスの上を牛が飛んでいる。コーネルブランド牛乳やアップルサイダーのパックにも月夜のキャンパスの時計台のイラストがあったのだが、牛は飛んでいなかった。
 白黒まだら模様のホルスタイン、人間の審美基準をあてはめて申し訳ないが、お世辞にも美牛とはいえない。どちらかといえば骨太の農家のお母ちゃんみたいなイメージ。さらに失礼を承知でいえば、運動神経もあまりよさそうではない。

 ちなみに、前記事などにでてくるジャージー牛は、茶色の小柄な牛のこと。イギリスのジャージー島がオリジンで、放牧向き、草飼育向き、そのミルクは乳脂肪分が高く濃厚な味である。ジャージーの子牛は、牛というよりは、バンビ(鹿)のようにかわいくて、動きも鹿のようにほんとうに飛び跳ねるように俊敏に動き回る。

 そんなキュートなジャージーがキャンパス上空を飛ぶのならまだ納得できるのだが、あまりフォトジェニックではないミセス・ホルスタインが不格好に手足を広げている。(経産牛つまり、子牛を産んだから乳房が大きくてお乳がでる。ゆえに、もちろん彼女は立派な母親である。が、夫の顔は見たこともないだろう。凍結精液の人工授精だろうしね)

IMG_3037

 パッケの下には、「A COW・A MOON・A CAMPUS」というキャッチコピーが入ってるのだが、この響きも、お世辞にも気が利いているとはいえない。韻を踏んでいるのではないし、この3語の組み合わせがなにを意味するのか、まったく想像もつかない。野暮ったいコピーとしか思えないのだが、なにか深遠な思慮が潜んでいるのだろうか。

 牛乳に月夜の空、アイスクリームに月夜の空を飛ぶホルスタイン、コーネルブランド乳製品の謎は深まるばかりである。どなたか、苦悶する社会学者に謎解きのヒントを与えていただけないだろうか。

 さて、肝心のコーネルブランド乳製品の味見である。

IMG_3038

IMG_3044

 バニラ。一見して卵が使われてないのがわかる。mono & diglyceride(モノ&ジグリセリド)、poly 80 (ポリ80)このあたりは、いわゆる「増粘多糖類」というやつだろう。あとは以前にも出てきた海藻由来のカラギーナン。
 食感は、ふわふわのホイップクリーム状態で、ミルキーなクリームの味だけで、コクはなく、あっさりしている印象。

IMG_3042

IMG_3040

 チョコレート、のように見えるのは、「Frosty Malt」。ココアパウダーと麦芽の香ばしさ。たぶん日本の分類的には、「アイスクリーム」ではなくて、「ラクトアイス」になるのだろう。甘さもコクも軽めだった。添加物は、安定剤など。

IMG_3052

IMG_3035

 「Deans Berry Swirl」アイスクリーム。Deanというのはたぶん人の名前か、ディーンさんのベリー類渦巻きアイス、が直訳。ブラック&レッドラズベリー、増粘多糖類、それに着色料が数種類はいっている。
 味は、まあ、普通の市販のカップアイスだ。増粘多糖類など添加物の感触がする。うちの学生たちは、自分たちでジェラートつくってみて、無添加のアイスの食感は分かりますね。ああ、違いが分かるためには、やっぱり普通のアイスも食べてみないとだめです。「Always Research!」スピリットを片時も忘れないように勉学に励んでください。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

«アメリカ農家製乳製品リサーチ(2) ジャージー・ノンホモ・ホールミルク・メープルシロップ・ヨーグルト@Norwich, NY